なぜ車検があるのか


1台の車には、数万点という膨大な部品があります。これだけ多くの部品があると、全ての部品が正常に稼働するということのほうが実は難しいかも知れません。ランプなど光る部品の球切れやタイヤの溝が少なくなってきた時など、目に見える消耗や劣化なら簡単に気づきますが、ブレーキの効き具合やエンジン内の状態など、目に見えにくい部分の不具合は車に詳しい人でなければ気づかないかも知れません。
その状態で車を走らせていると、やがて走行に支障が出たり安全上とても問題のある故障を起こしたりします。それでは危険なので、定期的に強制的な制度によって車検を行い、その基準を満たしていない車を公道から閉め出すようにしているのです。車検に合格しようと思うと、保安基準を満たすための整備をしなければなりませんので、自然に公道上には保安基準を満たした安全な車しか走っていないことになります。
車検の存在理由、ここまでは表向きの理由です。確かに定期的に国が保安基準をチェックする制度があれば、買ってから一度も整備をしていないというとんでもない車が道路を走る可能性はなくなります。
しかし、国が車検制度を維持している理由はそれだけではありません。もしかするとこちらが本音かも知れません。まず、車検のたびに課税される税収入です。重量税や印紙代、自賠責保険などの費用が必要になりますが、これらは国や保険会社にとってとても重要な財源です。
また、車検制度があるおかげで自動車の整備工場に仕事がもたらされます。これがなければ整備工場の仕事は急に減ってしまって倒産するところが出てくるかも知れません。
表と裏、それぞれの理由をはらみつつ車検制度は今後も続くでしょう。